強引社長といきなり政略結婚!?

彼の想いが痛いほど伝わってきて、くすぶっている気持ちから目を逸らしたくなる。

私たちは、本当にこのまま一緒にいていいの……?

小さな迷いに囚われながら一成さんの腕の中に収まっていると、ふと一成さんが「ん?」と言いながら私を引き離した。


「汐里、熱っぽくないか?」


彼が私の額に触れる。


「シャワーを浴びたばかりだから」


私が発熱なんてありえない。


「いや、その割にはちょっと高いな」


一成さんが突然私を抱き上げたものだから「ひゃっ!」なんて声が出た。


「とりあえず俺の部屋で休もう」


私をお姫様抱っこしたまま階段を上がっていく。彼が器用にドアを開けて中へ入ると、綺麗にベッドメイクされたところへ下ろされた。

< 337 / 389 >

この作品をシェア

pagetop