強引社長といきなり政略結婚!?
「寒くないか?」
一成さんは私に毛布を厳重にかけ、その上から布団もかぶせた。
「大丈夫」
「ちょっと待ってろ」と言い置いて一成さんが部屋から出て行き、すぐに戻ってきた彼の手には体温計が握られていた。
脇の下へ挟んで待つこと数分。体温計を取り出して一成さんに手渡すと、彼は「ほらやっぱり」と私にそれを突き出した。
三十八度二分。今までめったなことで体調を崩したことのない私が、ものの数十分雨に濡れただけで発熱なんて。
「なんでニヤニヤしてるんだよ」
一成さんに言われて初めて、自分の頬が緩んでいることに気づいた。
「雨に濡れて熱が出るなんて、か弱い女って感じでいいなーと思って」
正直に言うと、一成さんはプッと噴き出した。
「それ、喜ぶところ間違えてるだろ」