強引社長といきなり政略結婚!?
スイートタイムをもう少し
その日の夕方のことだった。
久しぶりに沸いた食欲のおかげで食べ過ぎてしまい、お腹をさすりながらリビングのソファで寛いでいると、多恵さんが一成さんを連れて入ってきた。
だらけていた体を慌ててシャンとさせる。
「汐里、もういいのか?」
一成さんが目を丸くする。
「はい。すっかり回復しました」
テーブルには多恵さんが焼いてくれたクッキーの残骸が置き去りだった。
それを見て一成さんが「そのようだな」とほっとしたように笑う。
「今から出られる?」
唐突に聞かれて目を瞬かせる。
「汐里を連れて行きたいところがあるんだ」
「はい、大丈夫ですけど……?」
どこへ連れて行くつもりなんだろう。
とはいえ、シャツタイプのチュニックにレギンスという部屋着のままでは出かけられない。着替えるまで待ってもらうことになった。