強引社長といきなり政略結婚!?

彼の車に乗せられ、移動すること二十分。
私が連れて来られたのは、白い壁が大きくそびえる病院だった。


「もしかして、おじい様のところですか?」


駐車場でエンジンが止められた車内で一成さんに尋ねる。


「そうだよ」

「……私が行っていいんですか?」


私の顔を見て、また具合が悪くなるんじゃないか。
忌々しい存在だと思われていることを知っているだけに、どうしたって躊躇う。


「汐里を連れてくるように言ったのは、会長のほうだ」

「え?」


そう言われると、余計に不安が大きくなる。
いよいよ、一成さんとの結婚は諦めるように言われるのかもしれない。その最後通告をするために、私を病院へ呼んだのかも。
これまでの経緯が良くないせいで、悪い想像しかできない。

もしも今日、おじい様に反対されたなら、これまでみたいに強く突っぱねることはできない気がする。

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