強引社長といきなり政略結婚!?
「いえ、何度も言っていただかなくても大丈夫ですから」
ふたりからいっぺんに頭を下げられ、身の置きどころがない。もう本当に勘弁してほしい。
「それからもうひとつ」
おじい様はベッドの上で右手の人差し指を立てた。
「一成との結婚のことだが」
ドクンと鼓動が弾む。
ワントーン下がったおじい様の声が、私に緊張を強いた。
命を助けたことと、彼との結婚は別次元の話だ。きっと、そう言われるのだろう。
前で組んだ手をギュッと握りしめる。
「好きにするといい」
「はい……。――って、はい!?」
肩を落とした直後、弾かれたようにおじい様を見る。
今、『好きにしていい』って言ったの……?
ドクドクドクと心臓が脈を打つ。