強引社長といきなり政略結婚!?

「命の恩人を粗末にしたら、ばあさんに天国で叱られるからな。それに、ゴルフの対決よりずっと以前から、体調が悪かったんじゃ。ゴルフ対決で急に悪くなったわけじゃない。だから汐里さんが気に病む必要はなんにもないのじゃ」

「……そうなんですか?」


隣に立つ一成さんを見上げる。
すると彼は、「そうだよ」とうなずいた。
全身から力が抜けていく。ヘナヘナとその場に座り込みそうになったところで、一成さんが私のことを抱き留めてくれた。


「実は、汐里が倒れた日の昼、会長から結婚の許しをもらっていたんだ」


私が浩輔くんの車に乗せられた日だ。あれから四日も経っているじゃないか。
力の抜けた体に電気が走ったようになる。背筋がピンと伸びた。


「どうしてもっと早く教えてくれなかったんですか?」

「寝込んでいただろう?」

「私がどれだけ思い悩んでいたと思うんですか!」


おじい様をひどい目に遭わせてしまった私は、一成さんの奥さんに相応しくないと。ずっと悶々と悩んでいたのに。

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