強引社長といきなり政略結婚!?
「ごめん。悪かった」
私の剣幕にタジタジになりながら、一成さんは両手を開いて私を宥めようとする。“どうどう”と、馬でも落ち着かせているみたいだ。
「一成さん、ほんとにひどい」
不満が唇の先に集結して尖る。
「まぁまぁ汐里さん、そんなに怒らないでやってくれ」
おじい様に言われてハッとした。その存在が一瞬のうちに彼方へ飛んでしまっていたのだ。
恥ずかしさに肩をすくめた。
「とにかく、そうと決まれば結婚は早いほうがいい。日下部にふたりの婚約披露パーティーの手配を任せてあるから、汐里さんもそのつもりでいるんじゃぞ」
「……婚約披露パーティー?」
あれだけブレーキがかかっていたのに、一歩前進した途端、ものすごい加速度だ。
私でもついていけないくらいに話が進んでいく。