強引社長といきなり政略結婚!?

◇◇◇

病院をあとにした私たちは、再び私の自宅へ戻ってきた。
おじい様から結婚の承諾を得て、私の体調も回復。
婚約披露パーティーのことも含め、改めて私の両親に挨拶をしたいという一成さんは、心なしか緊張した面持ちで私の隣に座っている。
この家に初めて来た時から、手放しで歓迎されているのだから、今さら気を張らなくてもいいのにと思わなくもない。

私とゴルフ対決をした綾香さんは、あの日の夜、正式に辞退したいと申し出てきたらしい。そもそも、おじい様に半ば強引に一成さんの花嫁候補として立てられ戸惑っていたそうで、おじい様が倒れたことが辞退のきかっけとなったそうだ。

もしも綾香さんが一成さんに好意を寄せていたとしたら、私のことを命の恩人だと感謝しても、結婚を承諾するまでは至らなかったかもしれない。おじい様は綾香さんを相当気に入っているように見えたから。

そう考えると、綾香さんが身を引いてくれたことは、私にとってラッキーなことだっただろう。

多恵さんが入れてくれた紅茶に口を付けた時だった。リビングのドアが開けられ、父と母が入って来た。


「いやぁ、一成くん、お待たせてすまなかったね」

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