強引社長といきなり政略結婚!?

このところの父は、孝志おじさんへ代表権を移すにあたり、普段より忙しなくしている。


「いえ、お忙しいところお邪魔して申し訳ありません」


一成さんは立ち上がり、いつになく丁寧に頭を下げた。


「今日はお話ししたいことがございまして、お時間を取っていただきました」

「とにかく座ろうか」


父に促されて一成さんも腰を下ろす。


「それで、話したいこととは?」

「ようやくうちの祖父が汐里さんとの結婚を承諾してくれました」

「――ほう! それはよかった!」


父がソファで身を乗り出すと、母も「まぁよかったわ」と嬉しそうにうなずいた。


「改めて申し上げます」


一成さんが居ずまいを正す。

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