強引社長といきなり政略結婚!?
私まで背筋が伸びる思いがするのは、いよいよ彼との結婚が現実味を帯びてきたせいだろう。
ただ、一成さんは過去に一度、うちの親には承諾をもらっている。ここで口を開くべきなのは私のほうだ。
「汐里さんを――」
「私、一成さんと結婚します!」
彼を遮り、私が高らかに宣言する。
一成さんが反射的に私を見たのを横顔に感じた。
そちらを見て笑みを浮かべると、一成さんは一瞬目を丸くしたあと、顔をくしゃっとさせた。
「汐里さんにセリフを奪われてしまいましたが、必ずふたりで幸せになりますので、今後ともよろしくお願いいたします」
一成さんに合わせて頭を下げる。
そして、下げた状態のまま顔を見合わせて笑った。
「どうか汐里をよろしく頼みます」
父はどこかホッとしたように、母に至っては涙ぐみそうになりながら私たちを見つめた。