強引社長といきなり政略結婚!?
「多恵さん、ワインを持って来てくれないか? せっかくのお祝いの席だ。紅茶じゃなくワインで乾杯といこう」
「かしこまりました」
いったん下がった多恵さんがワインを運んでくると、そこからは父と一成さんの酒盛りが始まってしまった。
来週の日曜日という急な婚約披露パーティーも、父と母は大いに賛成。誰を呼ぼうかと指を折って数え始める。
私はワインに少しだけ口を付けてから、そっとリビングを抜け出した。
ちょうどそこで出くわした多恵さんが、パッと顔を輝かせる。
「汐里様、本当にようございましたね。おめでとうございます」
「うん、ありがとう。多恵さんにもいろいろと心配をかけてごめんね」
「汐里様がお幸せになるのでしたら、そんなことはどうということもございません」
私の手を握って柔らかく笑った。
「ところで、西野様のことなのですが……」
多恵さんが突然顔を曇らせる。