強引社長といきなり政略結婚!?
ようやく静寂が訪れ、私たちはふたりで大きなため息を漏らした。
「まったくあいつらときたら……」
一成さんはそうつぶやきながら、控室のドアをカチャリと鳴らす。鍵を締めてしまったようだ。
「一成さん?」
そろそろみんなが私たちを待ちかねているころだというのに。
「だいたい、汐里の着飾った姿を日下部に一番に見せること自体、気に入らなかったんだ」
「……え?」
一成さんは私に向き直り、そこでようやく表情が和らぐ。
「汐里、本当に綺麗だよ」
「……ありがとう」
私のことをまぶしそうに見つめる一成さんを前にして、ドクンと鼓動が跳ねる。
絡まった視線が、私の心臓をさらに激しく動かしていく。