強引社長といきなり政略結婚!?
初めて会った時のことをふと思い出した。
会って数秒後のプロポーズが、私の人生を百八十度変えてしまった。
ピントの外れたお金持ちだと敬遠していたのに、いつの間にかそのペースにすっかり巻き込まれ、気づけば一成さん一色に染まっていた私の心。
こんな思いもしないことが待ち受けているとは、想像もできなかった。
でも、彼とならこの先ずっと、幸せで満ち足りた日を過ごせるはず。
見えもしない未来の映像が、私の脳裏には浮かんでいた。
「明日から一緒に住もう」
「でも、結婚はまだ――」
「ダメだ。俺と離れたところで、またいつろくでもない男が近づかないとも限らない」
浩輔くんのことなのか、一成さんが私の言葉を遮って不満そうに言う。
「実家に戻る前に住んでいたマンションなら、すぐに手配できるはずだ」
「それはできません」
「どうして」
一成さんが食い下がる。