強引社長といきなり政略結婚!?

「社長、お願いしますよー。取材が終わればゆっくりできるんですから」


大泉さんの言うように、取材のあとはのんびりさせてもらうことになっている。
今夜はここに一泊できるようにしてくれたのだ。
なかなか予約が取れないことで有名なだけに一成さんには申し訳ないけれど、私は密かにワクワクしている。

解放感溢れる高い天井、渓谷を望むようにせり出したテラスからは、森や川の景観が楽しめる。ちょうど真っ赤に色づいた紅葉が、山に彩を加えていた。


「……わかったよ」


渋々といった様子で一成さんがソファに座り直す。


「では、とっておきの笑顔でいきましょう。はい、チーズ」


何度となくシャッター音を響かせ、ようやく思ったような写真が撮れたのか、大泉さんの口から「よし」という小さな声が漏れた。


「次にインタビューに移らせていただきますね」

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