強引社長といきなり政略結婚!?
誰が見ても、そういう印象を彼に抱くだろうに。なんだか妙に満足気だ。
「次は汐里の番だ」
「――“汐里”!?」
ついさっきまで“さん”付けだったくせに、いきなり呼び捨て!?
私が驚いたように声を上げると、朝比奈さんは『なにか?』といった様子で私を一瞥した。
「朝比奈さん」
“さん”を強調して呼ぶと、やっとそこで私の不満に気づいたのか、「呼び捨てが気に入らない?」と聞いてきた。
「急すぎます」
この人はなんにつけても“超”が付くほど“急”だ。
「ゆくゆくは夫婦になるんだから、なんの問題もないだろう?」
「まだ決めていません!」
父が彼にあっさりと“飼い慣らされて”しまったからか、つい反発心が顔をもたげる。