強引社長といきなり政略結婚!?

政略結婚に異論はない。物心がついた時から、私にはそういうレールが敷かれていると理解していたし、他に好きな人がいるわけでもない。
ただ、簡単にこの人の手に落ちたくないのだ。ぐいぐい迫られて、妙に反抗したくなる。


「でも、俺の気持ちは固まってるから、悪いけど汐里と呼ばせてもらうよ。汐里も俺のことは一成と呼んでくれて構わない」

「呼びません!」


本当に強引すぎる。その上、意思疎通がまったく図れないときている。


「で、汐里の自己紹介は?」

「したくありません」

「せっかくふたりの距離を縮めようとこうしてドライブしてるんだから。なら、俺がしようか? 藤沢汐里、二十八歳。身長百六十五センチ、体重五十キロ」

「ちょ、ちょっと待ってください!」


慌てて彼を止める。


「合ってる?」


信号待ちで車が停まると、彼はいたずらな目をして私を見た。

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