強引社長といきなり政略結婚!?

ずっと玄関でそわそわして待っていたらしい。


「ごめんね」


彼女の手を握った。


「大丈夫でございましたか?」


そう聞かれて、さっきのキスを思い出す。


「……うん」


即答しなかった私に、彼女が「なにかされたのですか!?」と目を丸くする。
ここでキスをされたと白状したら、多恵さんは卒倒してしまうかもしれない。


「なにもされてないよ」


首を横に振り、なんとか平常心で答えた。


「そうですか。本当によかったです」


多恵さんが胸を撫で下ろしたところで、父がリビングから顔を出した。

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