強引社長といきなり政略結婚!?
それを払いのけるように明るく返す。
すると彼女は「えらい!」と私に拍手を送ってよこした。
「普通、お嬢様っていったら、どんなに落ちぶれてもお嬢様ぶるじゃないですか。生活レベルはなかなか落とせるものじゃないって聞くし」
あまりにも悪いイメージに苦笑してしまう。
「それなのに、家のことを思って健気にアルバイトなんて……」
驚いたことに目を潤ませて私の手を取る。
「私、汐里さんのことを尊敬します」
「……やだ、そんなに素晴らしいことでもないんだけど」
元々じっとしているタイプでもないし。そこまで直球で言われると、さすがに照れる。
「汐里ちゃんもゆかりちゃんも、口じゃなく手を動かしてねー」
あまりにもおしゃべりに夢中になっていたせいで、厨房から田辺さんに注意されてしまった。