【短ホラー】ドウソウカイ。
メキッと音がして背中に衝撃が走った。


高笑いが聞こえる。

サクラのお父さんと、石橋くんの爽やかな笑い声。



――やめて!!


二人と正反対、ほぼ泣き声でサクラは叫ぶ。


きっとあたしだけに聞こえている。



散らばった鏡の欠片の上、真っ白な骸骨のサクラが空を仰いで泣いていた。



あるはずのない血がじわじわと溢れ出て、銀色の欠片を赤黒く染める。



――お願い、やめて!!



振り絞る声は悲しみに震えていた。


まだ言うの?
いい加減諦めなよ。


サクラの大切な鏡は割れて粉々になってしまった。



それどころか、サクラ自身がぐちゃぐちゃになってしまった。


今さら「やめて」なんて、意味がない。



それともその言葉は、あたしたちじゃない誰かに伝えたいの?


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