雲の国の話
あたしは先生の手を握り返すことは出来ない
離すか離さないかは先生が決めることなんだって
「先生も一緒に外の世界に行けるの?」
「………」
先生は黙ったままだった
悲しそうな顔している先生は
あたしの手を強く握るわけでもなかった
「俺は外の世界には行けない」
「えぇ?なんで?」
「俺はお前を外の世界に行かせるためにいるんだ。」
「じゃあ外の世界に行くとしたら先生はまだこの雲の国にいるの?」
「あぁ、そうやって何人もの人を外の世界に行かせたからな」