言葉は世界を救う!?
律花の後悔
「よぉ、律花!昼休みあれからどこ行ってたんだよ!」
「明日翔(あすと)‥。」
廊下を歩いていたとき、後から声がかかり振り返るとそこには幼なじみで野球部、2年の戸村明日翔(とむら あすと)がいた。
「フッ‥しっかり先生に見つかって職員室にいました!」
「結局つかまってんじゃん!!お前、部活引退してから体、鈍ってるんじゃないのか?」
そういって明日翔は私の全身を見る。
「いやらしい目で見るなよバカ!体力なんて落ちてないよ。」
そういって前方をみると、ある一人の女子生徒が歩いてきていた。
「花梨‥。」
その子は私と目線を会わせることなく通りすぎて行ってしまった。
その様子を私は明日翔と一緒に見ていた。
「野本て‥万引きしたやつだよな?確か?そんなやつと友達やめて、正解だよ律花。おい、律花?おーい!」
「えっ?‥あー、そうだね‥。」
私は考え事をしていたから、明日翔の声に反応するのが遅れた。
時は昼休みにさかのぼる。
「私の友達のことで相談があるんだけど‥。」
「いいよ。なんでもいいなよ。」
優しく言う筒井。それを見ていて不安になる。
「私のこと怒ったりしない?」
「俺はどんな相談でも責めたり、怒ったりはしない。だから、ちゃんと話して。最後まで聞くから。」
私は筒井の言葉をきっかけに話始めた。
「去年、1年の時なんだけど‥筒井が転入してくる前の話ね。」
筒井は真剣に私の話を聞いてくれている。
「私、入学してすぐに野本花梨(のもと かりん)ていう女の子と仲良くなったの。美人で成績もよくて、私はそういうところ鼻にかけないところが好きだった。だけど、それが気に入らない子がいて、ある時、万引きの罪を花梨に着せたの。花梨は‥もちろんやってないて言った。けど、私は‥その子たちに圧力をかけられて嘘をついた。花梨はやったて。そしたら‥それからは‥何も話さなくなって、疎遠になっちゃったんだ。」
「野本さんは確かに可愛いよね。確か隣のクラスだよね。」
「うん。‥全部、私が悪いの。花梨を守ってあげることが出来なかった。結局は自分のためで、花梨のこと何も‥」
「律は‥野本さんとこれから、どうなりたいの?」
「えっ!?」
思わず聞き返す。
「一生、このままにする?それとも‥」
「私は‥あの時みたいに、また一緒に遊びに行ったりしゃべったりしたい!このまま、一生しゃべらないまま卒業したくなんかない。」
「わかった。2人でこの問題、解決しよう。」
「うん。でも、どうやって‥。口聞いてくれないし、どうやって接触すれば‥。」
すると筒井は優しい表情を浮かべた。
「律。考えてても仕方ないよ。変えたかったら行動にうつすしかない。まずは、律がやりたいようにやってみなよ。律はいっぱい思ってることあるじゃない。それを伝えるべきだよ。暴力は駄目。ちゃんと言葉で伝えて。」
「うん。わかった。やってみるよ私。」
「何かあればいつでも来なよ。俺は助けを求められれば、すぐに行くから。教室にいるときでも出張してあげる。」
筒井の笑顔は人を安心させる。
「ありがとう筒井。そう言えば‥筒井の下の名前って‥。」
私は気になっていたことを聞いた。
「‥青葉(あおば)。筒井青葉だよ、律花。俺は君の味方だからね。」
その顔はからかってなんかなく、真剣な表情だった。