言葉は世界を救う!?
私はその日の放課後、隣のクラスの花梨を昇降口で待った。
何もしないよりかはいいとの結論になり、待つという行動にうつしたのだ。
しばらくすると、花梨がやって来た。
「あ‥あのさ、花梨!」
「‥‥‥‥。」
花梨は私の方を一瞬だけ見たものの、無言のまま靴箱から靴を取り出した。
‥が、ここでくじける私ではない!
「花梨、久しぶりに一緒に帰らない?話したいこといっぱいあるんだー!」
私は楽しそうに話しかけた。
「‥悪いけど、私はあんたとは帰らないから。1人で帰って。」
そう言って、花梨は私の隣を通りすぎようとした。
「あっ!待って!!」
私は思わず花梨の右手首を掴んだ。
「痛っ!!」
花梨が叫び、右手を振り払った。
「あっ‥ご‥ごめん。‥手首、怪我してるの?」
「関係ないから。勝手に、触らないで。」
花梨は右手首をおさえながら言う。それは怒っているようにも聞こえた。
「それと‥私とは関わらないで。話しかけてもこないで。迷惑だから。」
花梨は私の方には見ないまま言った。
「な‥なんでなの?やっぱり、私がしたこと怒ってるの?裏切ったから?」
「そうだよ。私は怒ってる。まさか、あんたが薄情な人だとは思わなかったよ。あれだけ、愛想振りまいてるのにいざとなったら、友達であろうと見捨てるんだね。」
「それは‥‥」
「私はあんたなんかとは友達だとは思いたくない。じゃあ。」
そう言うと行ってしまった。
その時に私は見たんだ。
花梨の涙を。
涙が目からこぼれる瞬間を。
私にはなんで、花梨が泣いてるかなんて分からなかった。
むしろ、私が泣きそうになってたぐらいだ。
私はそのまま、南校舎の筒井青葉がいるであろう、悩み相談部の部室と呼ばれる教室へと向かった。
部室に行くと相変わらず筒井青葉だけが1人部室にいた。
「‥相変わらず、誰も依頼人はいないのね‥。」
すると本を読んでいた青葉が顔をあげた。
「来たじゃないか。南律花という、悩める女子が。」
ドキッ!!!
その青葉の微笑みに私の心臓が不覚にも高鳴る。
「そ‥そうだけど‥でも、私は‥!」
「早速、何かあったんだね?どうしたの?」
青葉は本を閉じると私の目をまっすぐに見た。
私は青葉の目の前の椅子に座った。
「‥さっき、花梨と話した。向こうから断られたけどね。もう、話しかけないでって。」
すると、我慢していた涙が溢れそうになった。
涙を見られなくて私は下を向く。
「やっぱり怒ってた。私‥嫌われて当たり前のことをしてたんだね‥。」
「‥‥ねぇ、何か変わったことはなかった?今日、野本さんを見て。」
「‥変わったこと?‥‥そう言えば、右手首怪我してたよ。まぁ、打撲とかその辺だと思うけど‥。あ!そうそう、あのね私の隣を通りずきた時、花梨泣いてた。なんでか分からないけど泣いてたんだ。」
「泣いてた?」
「うん。‥そんなに、私と話すのが嫌だったのかな‥。それはそれで、ちょっとショックなんだけどな‥。泣くぐらい私の顔見たくないなら、私はもう会わない方がいいね。」
「‥‥‥‥‥。」
青葉は何かを考えるように黙りこんだ。