言葉は世界を救う!?
隠されていた気持ち
あれから1週間がたった。
青葉からは何の連絡もない。同じクラスなんだけど、しゃべらないから情報が入ってこない。
私はもどかしい気持ちでいっぱいだった。
「ねぇ、いつになったら動いてもいいの?」
だから私は思い切って教室で青葉に聞いてみた。
すると本を読んでいた青葉は顔をあげて言った。
「もう少し待って。あとちょっとだから。」
「‥現に、動かないと何も変わらないて言ったのは青葉だよ?」
「うん。確かに言ったよ。だけど、律が話してくれたおかげで少しずつ変わっては来てるんだ。」
初めて聞かされた事実だった。
「本当に?」
「そうだよ。まとまったらちゃんと話すから。それは約束する。」
その時だった。
「お前らて最近、仲いいんだな。」
声の方を向くと幼なじみの戸村明日翔が立っていた。
「‥明日翔。別に仲がいいっていうわけじゃ‥。」
「最近、律花が南校舎に行ってるていう情報が入ってくるんだけど、こいつと何か関係あるの?」
明日翔が青葉を指で指しながら言う。
「それは‥青葉に用事があるから‥」
「‥用事?こいつに?‥フッ、お前まさか、こいつに告白したのか?それで、断られたから何回もトライしてるとか?」
「ち‥違うから!!!」
私の顔が知らないうちに赤くなる。
「お前て意外に乙女なんだな。ソフトボールしかやったことのない、野球バカにも春て来るもんだな。アハハハ!」
バカにしたような言い方に腹が立っているものの、青葉に相談があるから南校舎に行っていたとは言えない。
それこそ、何か言われても仕方ない。
「なぁ、筒井。こんなやつのどこがいいの?」
明日翔が青葉に話を振った。
「全部だよ。」
「えっ!?」
私と明日翔は2人して青葉を見る。
一瞬、からかっているのかと思ったけど、本人はいたって真面目だった。
「俺は律の全部がいいと思ってるよ。律は魅力的な女子だと思う。‥それに律は告白するために俺のところに来たわけじゃないよ。」
「じゃあ、なんのために行ってるんだよ。」
「それは‥」
そう言うと青葉は席を立ち、明日翔の前に立つ。
そして‥青葉が人差し指を明日翔のくちびるにおいた。
「秘密だよ。こっちにも守秘義務があるから。俺は相談部の部長で律から依頼されただけ。戸村も相談したいことかあれば、いつでも来なよ。」
「‥っ‥!くそっ!!」
そう言うと明日翔は恥ずかしそうに顔を赤らめて教室を出ていった。
見ているこっちがドキドキするぐらい、すごかった。
青葉は怒るわけではなく、私も明日翔のこともフォローした。
青葉は何事もなかったかのように席に戻って本を読み始めたけど、私はその場からしばらく動くことが出来なかった。