オフィスに彼氏が二人います⁉︎
「……はい?」
久我くんも驚いて、目を見開いて時山部長を見つめる。
だけど、時山部長は笑顔のまま、「何か問題でも?」と返す。
「も、問題っていうか……七香、どういうことだよ?」
今度は私にそう聞いてくる。だけど、どういうことなのか聞かれても、私も訳がわからなくて「あ……う……」と言葉に詰まってしまう。
すると、次に口を開いたのは時山部長だった。
「久我くんがそこまで驚くことではないんじゃないかな?」
「えっ……」
話を振られた久我くんも、戸惑って動揺しているように見える。
でも、彼はすぐに時山部長に言葉を返す。
「だ、だけど、七香に告白するつもりだったのなら、なんで俺までこの場に誘ったんですか?」
もっともな質問をぶつけられた時山部長は、やっぱり落ち着いていて。
「嵩元さんが、俺と二人じゃ気まずそうだったから」
「それにしたって……! 三人で過ごす日に告白なんて受けたって七香も戸惑うし、俺だって……」
「君も動揺してしまう? そうだね、君も嵩元さんが好きだもんね?」
ドクン、と心臓が跳ねた。
な、なんで知っているの……⁉︎
久我くんも言葉に詰まっている。
「そんなに驚かなくても。俺は嵩元さんが好きなんだ。だから嵩元さんを目で追っていた。ずっと見ていれば、いつも嵩元さんの側にいた久我くんが彼女のことを好きだということくらい、気付くよ。
まあ、嵩元さん自身は気付いていなかったみたいだけどね」
そう言ってアハハ、と笑ってみせる時山部長だけど、私も久我くんも、何て返せばいいかわからない。少なくとも、笑える状況じゃない。