オフィスに彼氏が二人います⁉︎
翌朝。
本当に休むわけにはいかないので、私はいつも通りの時間にいつも通りのフリをしながら出勤してきた。
営業室の自動ドアの前で、すーはーと深呼吸してみる。
この先には、時山部長はいないけれど、久我くんはいる。
私の、彼氏の一人が。
でも、周りの人にこの関係がバレるわけにはいかない。
いつも通りにしなきゃ。
いざ!と覚悟を決めて一歩を踏み出すと、自動ドアが開いた。
その時、
「あ、七香」
まさかの、後ろから久我くんが登場した。
不測の事態に、振り返ったまま動揺してしまう。
久我くんも、声を掛けてくれたのはいいものの、どこか戸惑っている様子だ。
自動ドアが、何事もなかったかのようにガーッと閉まった。
「お、おはよう久我くん……」
「あ、うん、おはよ……」
なんとなく沈黙が流れる。
でも、ここでいつまでも突っ立っているわけにはいかない。
何か言おうと口を開くと、先に言葉を発したのは久我くんだった。
「あのさ。金曜日は悪かった。その、三人で……って。変なことに巻き込んじゃって」
申し訳なさそうに頭を下げる久我くんに、私は思わず「う、ううん」と頭を振ってしまう。
「言い出したのは時山部長だし……久我くんは気にしないで」
「でも、俺も部長の提案に乗ったわけだし……。
でもな、無理しなくていいからな」
久我くんは力強い声で、まっすぐにそう言ってくれる。
「部長も言ってたけどさ。実際三人で付き合ってみて、もし嫌なことがあったらすぐに言ってくれ。身を引ける自信はないけど、三人で……っていうのは俺がなんとしてでもやめさせるから」
「久我くん……」
「あ。あと、俺と話す時はいつも通りでいいからな? 変に意識するとこっちまで照れちまうし……。
俺の目的は七香を振り向かせることだけど、七香は無理してまで俺のこと恋愛対象として考えなくていいから」
本当に休むわけにはいかないので、私はいつも通りの時間にいつも通りのフリをしながら出勤してきた。
営業室の自動ドアの前で、すーはーと深呼吸してみる。
この先には、時山部長はいないけれど、久我くんはいる。
私の、彼氏の一人が。
でも、周りの人にこの関係がバレるわけにはいかない。
いつも通りにしなきゃ。
いざ!と覚悟を決めて一歩を踏み出すと、自動ドアが開いた。
その時、
「あ、七香」
まさかの、後ろから久我くんが登場した。
不測の事態に、振り返ったまま動揺してしまう。
久我くんも、声を掛けてくれたのはいいものの、どこか戸惑っている様子だ。
自動ドアが、何事もなかったかのようにガーッと閉まった。
「お、おはよう久我くん……」
「あ、うん、おはよ……」
なんとなく沈黙が流れる。
でも、ここでいつまでも突っ立っているわけにはいかない。
何か言おうと口を開くと、先に言葉を発したのは久我くんだった。
「あのさ。金曜日は悪かった。その、三人で……って。変なことに巻き込んじゃって」
申し訳なさそうに頭を下げる久我くんに、私は思わず「う、ううん」と頭を振ってしまう。
「言い出したのは時山部長だし……久我くんは気にしないで」
「でも、俺も部長の提案に乗ったわけだし……。
でもな、無理しなくていいからな」
久我くんは力強い声で、まっすぐにそう言ってくれる。
「部長も言ってたけどさ。実際三人で付き合ってみて、もし嫌なことがあったらすぐに言ってくれ。身を引ける自信はないけど、三人で……っていうのは俺がなんとしてでもやめさせるから」
「久我くん……」
「あ。あと、俺と話す時はいつも通りでいいからな? 変に意識するとこっちまで照れちまうし……。
俺の目的は七香を振り向かせることだけど、七香は無理してまで俺のこと恋愛対象として考えなくていいから」