オフィスに彼氏が二人います⁉︎
もしもし、とその電話に出れば、『あ、悪い。電話なんかして』という、久我くんの声が聞こえる。
大丈夫だよ、と私が答えると。
『時山さんとのデート、どうだった?』
どうだった、と聞かれると。
「……楽しかった」
疲れた、なんて言ったら時山部長への悪口みたいになってしまう。久我くんも私のことを想ってくれているわけだから、この返答は久我くんに対して失礼なのかもしれないけど。
『……どこ行ったの?』
久我くんの声がワントーン下がった。私の返答が彼を微妙な気分にさせてしまったのだろう。
だけど、どっちかだけに良い顔するわけにはいかない。心は痛むけれど、割り切って思ったことだけを言おうと思った。
「最近できた展望台、わかる? そう、そのビル。時山部長の親戚の方が経営者らしくて並ばずに入れてもらった。あそこで景色見た後、食事したよ」
私がそう言うと、少しの間の後、電話の向こうから盛大な溜め息が聞こえる。そして。
『なんだよその大人のデート。ただの大人の域超えてるし……』
確かにそうだよね、と返そうとしたけれど、それより先に久我くんが言葉を続ける。
『でも、俺も七香を喜ばせたいっていう気持ちは同じだから! いや、その気持ちは時山さんより強いから!
……だから、来週の日曜日は俺とデートしよう』
大丈夫だよ、と私が答えると。
『時山さんとのデート、どうだった?』
どうだった、と聞かれると。
「……楽しかった」
疲れた、なんて言ったら時山部長への悪口みたいになってしまう。久我くんも私のことを想ってくれているわけだから、この返答は久我くんに対して失礼なのかもしれないけど。
『……どこ行ったの?』
久我くんの声がワントーン下がった。私の返答が彼を微妙な気分にさせてしまったのだろう。
だけど、どっちかだけに良い顔するわけにはいかない。心は痛むけれど、割り切って思ったことだけを言おうと思った。
「最近できた展望台、わかる? そう、そのビル。時山部長の親戚の方が経営者らしくて並ばずに入れてもらった。あそこで景色見た後、食事したよ」
私がそう言うと、少しの間の後、電話の向こうから盛大な溜め息が聞こえる。そして。
『なんだよその大人のデート。ただの大人の域超えてるし……』
確かにそうだよね、と返そうとしたけれど、それより先に久我くんが言葉を続ける。
『でも、俺も七香を喜ばせたいっていう気持ちは同じだから! いや、その気持ちは時山さんより強いから!
……だから、来週の日曜日は俺とデートしよう』