オフィスに彼氏が二人います⁉︎
「え?」

思わず、間抜けな声が飛び出した。¥。

デートに、誘われた。……久我くんに。


「……デート!?」

つい大きな声で聞き返してしまう。


『なんだその反応。時山さんとはデートしておいて、俺とはダメなのかよ』

「い、いや。ダメとかじゃ。ただ、久我くんとデートなんて当然だけど今まで一度もしたことなかったからビックリしちゃって」

『時山さんとだって初めてのデートだったろ? ったく、それってつまり、俺のことは恋愛対象としてまるっきり見てねーってことじゃん。……まぁいいや。これから好きになってもらえばいいんだもんな。来週のデート……落とされる覚悟しとけよ! じゃあな!』

言い終わるのと同時くらいに、突然電話が切れた。……もしかして久我くん、自分のセリフが自分で恥ずかしかったのだろうか。


「……そうだったとしたら、かわいいな」

携帯をベッドの上に置いて、背伸びをしてみた。

モヤモヤしていた気持ちが、なぜか少しだけスッキリとしていた。


とりあえず、お風呂に入ろう。
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