オフィスに彼氏が二人います⁉︎
結局、彼の家までやって来てしまった。

彼の家に来るのは初めてではない。駅から近いのもあり、同期の何人かで彼が一人暮らしをしているこのアパートで宅飲みをしたことが何回かある。
でも、この家で二人きりになるのは初めてなわけで。

……しかも久我くんは、〝そういう気〟満々だし⁉︎


「あ、あの久我くん。私、やっぱりーー」

ここまで来て今更怖気付く自分をどうかと思いながらも、やっぱり、無理ーーいくら恋人同士だからといって、久我くんとそんなことーー。


だけど、声が小さすぎて久我くんには届かなかったみたいで、

「さあ、さっそくやるぞ!」

リビングに荷物をおろした彼は、満面の笑みで振り返ってそう言ったのだった。

なんでそんな笑顔ー⁉︎


「く、久我くん。あのね……って、どこ行くの?」

「え? キッチンに決まってるだろ」

キッチン? キッチンプレイ……⁉︎


「わ、私そんなのやったことないし、無理だよ……っ」

「え、出来ないのか? まあ別に気にすんな。七香は座って見てるだけでいいから」

「マ、マグ……ロ……?」

「いや、肉」

「に……にく?」


あ……もしかして久我くんがしようとしてることって……。


「いやー、久しぶりだな料理! 得意なんだけど、最近はなかなか出来てなかったからさー!」


そういうことかーい‼︎
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