オフィスに彼氏が二人います⁉︎
ていうか、そういうことに決まってるよね。おかしいと思ったよ、真面目な久我くんに限って。
……変な変換をしてしまった自分を、思いっ切り引っ叩きたい。


「……えと、じゃあ何か手伝うよ」

「七香、料理出来ないって今言わなかった?」

「料理は出来るよ」

「料理は?」

「あ、そのっ! とにかく、何でも手伝うよ!」

さっきの誤った解釈をごまかそうとして、声が変にうわずってしまう。でも、何か手伝いたいと思ったのも本心だ。

だけど、彼は。

「うーん。七香と料理出来たら楽しいと思うけど、今日は俺が七香にアピールする日だから、七香はそこ座って待ってて」

そう言って彼は、キッチンの後ろにあるテーブルセットを指差した。


うーん、本当にいいのだろうか。何もしないで待ってるだけ、なんて。


でも、久我くんが私のために料理を作ろうとしてくれているのは、素直に凄く嬉しくて……。



「じゃあ、お願いします」

控え目に頭を下げながらそう言うと、久我くんはにっこりと笑って、

「任せろ!」

と言った。

その笑顔がとってもかわいかった。
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