オフィスに彼氏が二人います⁉︎
久我くんの手つきはとっても慣れたものだった。
料理が得意と自分で言っていたけど、まさかここまでとは。包丁さばきとか、上手を越して華麗だ。

作ってくれる料理も、カレーとか肉じゃがとか家庭的なものではなく、なんだかパーティーにでも出せそうな雰囲気だ。

だけど、無駄に豪華な食材を使っているとかではなく、スーパーにも売っているごく普通の食材を使って、久我くんの手によって華やかに変身している感じだ。

たとえば、サーモンやアボガドを使ったカルフォルニアロール。具材をお洒落に切ってあって、出来上がった後のトッピングもかわいく仕上げてくれている。
普段から料理はしているみたいだけど、自分が食べるだけならここまでのトッピングはしてくれないだろう。
きっと、私が食べるから……そう思ったら、うれしくて仕方ない……。


「よーし、我ながら上々な出来だ!」

そう言って彼は、エプロンを外して私の正面に腰掛ける。

テーブルの上には、色鮮やかな料理たち。


サラダにカルフォルニアロールにローストポーク。
どれも久我くんの手によって、一般的な姿から豪華に変身している。


「すごい。このサラダ、花束みたい」

「ああ。それは茹で卵とハムを薔薇の形にしてみた」

「カルフォルニアロール、美味しい」

「見た目のかわいさに力を入れてみた」

「ローストポークって時間掛かるんじやないの? 早かったね」

「下ごしらえしておけば大した手間じゃねーよ?」

久我くんはなんでもないことのように言うけど、この料理の腕、尊敬するしかない。
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