オフィスに彼氏が二人います⁉︎
久我くん特製の素敵な夕ご飯をいただいた後、私は食器を洗おうと流しでスポンジを探し始める。


「ああ、いいよ七香。後片付け俺がやるから」

「そんなわけには。作ってもらったんだから、片付けは私がやるよ」

「じゃあ、一緒にやるか」

そう言って立ち上がり、彼は私の隣に立つ。


「じゃあ……お言葉に甘えて、洗うのやってもらっていい? スポンジと洗剤これな。俺は食器棚に戻してくから」

「うん」

そうして、二人で流しの前に立ち、分担して食器を片付けていく。


……なんか、こうしているとまるで夫婦みたい……とか思ってしまって、私は頭を小さく横に振った。
恥ずかしい。なに考えてるの私ったら。


でも、その時。


「なんか、こうしてると夫婦みたいじゃねーか?」

久我くんがそう言うから、私は思わず「はっ⁉︎」と大きな声を出してしまった。


「え、わ、悪ぃ……。そんなこと言われたって嫌だよな」

「ちっ、違う! 嫌じゃない!」

同じタイミングで同じこと考えてたから驚いてしまっただけ。でも、そんなことは恥ずかしくて言えなくて。


「とにかく、嫌じゃないから!」

妙に力いっぱいそう言ってしまって、久我くんは訳がわからなそうな顔をしていたものの、


「……ならいいや」

と、笑ってみせた。

……さっきみたいなかわいい笑顔じゃなくて、どこか安心したような、そんな顔。


その笑顔に、私はなぜかキュン……という胸の鼓動を感じた。
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