オフィスに彼氏が二人います⁉︎
そうしてしばらく食器を洗い続けていると。
「あ。洗剤の泡ついてる。七香、ちょっと動くな」
「え? なに?」
動くな、と言われた気がしたけど、急に話し掛けられたから反射的に彼の方へ振り向いてしまった。
……すると。
振り向いた瞬間、すぐ目の前に久我くんの顔があった。
距離が、近い。
「あっ……悪い。髪に泡ついてたから取ろうと思って」
「え、あ。ありがとう……」
久我くんにとってもこの距離は予想外だったようで、彼も少し動揺しているのがわかった。
そのまま、彼は右手をすっと私の髪に伸ばし、泡を取ってくれた。
「……取れた」
「……うん」
だけど、顔はまだ近付けたまま。
彼はこの至近距離のままで私を見つめる。
少し照れているような表情だけど、まっすぐに目を逸らさない。
私も……。
この距離で見つめられるのが、もちろん恥ずかしいけど、でも嫌じゃなくて……。
「七香……」
そ……っと、彼の唇が私に近付いてくる。
私、そっと眼を閉じーー
ようと思ったその時。
バチン!
突然、乾いた音がキッチンに響き、私は閉じかけた目をバチッと開いた。
そこには、両手で自分の頬を叩いた久我くんの姿が映る。
「あー、ダメだな、俺」
彼は両手を頬からおろすと、先ほどまでのように食器を片付けていく。
そして。
「キスはしない、って時山さんと約束したのに、危うく破るところだったぜ」
そうか。そうだった。
私も思わず、目を瞑りそうになってしまった……。
その後は、何事もなかったかのように後片付けを進めていって、全て片付け終わると「アイスでも食うか。食器洗ったばっかだけど」と言う。
うん……と曖昧に答えながら私は、
……久我くんとキス寸前までいったさっきの出来事が頭から離れず、ずっとドキドキしていた。
あのままキスをしていたら、私たちはどうなっていたんだろう。
恋人同士なんだから、キスしたって自然だけど。
でも私たちは、普通の恋人同士じゃない。時山部長と三人で付き合っているから。
「あ。洗剤の泡ついてる。七香、ちょっと動くな」
「え? なに?」
動くな、と言われた気がしたけど、急に話し掛けられたから反射的に彼の方へ振り向いてしまった。
……すると。
振り向いた瞬間、すぐ目の前に久我くんの顔があった。
距離が、近い。
「あっ……悪い。髪に泡ついてたから取ろうと思って」
「え、あ。ありがとう……」
久我くんにとってもこの距離は予想外だったようで、彼も少し動揺しているのがわかった。
そのまま、彼は右手をすっと私の髪に伸ばし、泡を取ってくれた。
「……取れた」
「……うん」
だけど、顔はまだ近付けたまま。
彼はこの至近距離のままで私を見つめる。
少し照れているような表情だけど、まっすぐに目を逸らさない。
私も……。
この距離で見つめられるのが、もちろん恥ずかしいけど、でも嫌じゃなくて……。
「七香……」
そ……っと、彼の唇が私に近付いてくる。
私、そっと眼を閉じーー
ようと思ったその時。
バチン!
突然、乾いた音がキッチンに響き、私は閉じかけた目をバチッと開いた。
そこには、両手で自分の頬を叩いた久我くんの姿が映る。
「あー、ダメだな、俺」
彼は両手を頬からおろすと、先ほどまでのように食器を片付けていく。
そして。
「キスはしない、って時山さんと約束したのに、危うく破るところだったぜ」
そうか。そうだった。
私も思わず、目を瞑りそうになってしまった……。
その後は、何事もなかったかのように後片付けを進めていって、全て片付け終わると「アイスでも食うか。食器洗ったばっかだけど」と言う。
うん……と曖昧に答えながら私は、
……久我くんとキス寸前までいったさっきの出来事が頭から離れず、ずっとドキドキしていた。
あのままキスをしていたら、私たちはどうなっていたんだろう。
恋人同士なんだから、キスしたって自然だけど。
でも私たちは、普通の恋人同士じゃない。時山部長と三人で付き合っているから。