オフィスに彼氏が二人います⁉︎
何言ってるんですか、と久我くんは言い返すけど、時山部長はどこか挑発的な視線と口調を久我くんにぶつける。


「君だって、本当は彼女にキスをしたいんだろう? もっと触れて、彼女を感じたいんだろう?
本音はそうのはずなのに、『彼女が嫌がっているから』なんて、言い訳をして逃げているだけだ」

「逃げ……?」

「自信がないんだろう? 俺から彼女を奪う自信が」

「……っ!」

久我くんが言葉に詰まる。


今日の時山部長は、普段とどこか違う。

久我くんに対してライバル心は今までもあっただろうし、久我くんに対する余裕ぶりも今に始まったことじゃない。

でも、今まではここまで挑発的な態度じゃなかった。

久我くんだって、こんなあからさまな挑発に乗るわけがないーー


そう思っていたのに。



「……ごめん」

彼が小さな声でそう呟いたかと思えば、突然、私と時山部長の間に入り込み……私に口付けた。
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