オフィスに彼氏が二人います⁉︎
「久我、くん……?」
さっきの大声告白でさえ周囲の視線を感じていたのに、これでは周りに〝見てくれ〟と言っているようなものだ。恥ずかしくて、自分の足元しか見れない。
でも、何で? 背中越しに聞こえた荒々しい言葉とは違って、私を抱き締める彼の腕の力はどこまでも優しい。
そして。
「諦めようと思ったんだ。これ以上付き合っても、きっと七香をまた苦しめるだけだって思ったから」
「うん……」
「自分に自信もなかった。今まではただの友だちだったから堂々と隣にいられたけど、俺は時山部長みたいにはなれないから」
「うん、うん……」
「時山部長の方が、七香には合ってると思ったんだ」
そこまで言うと、彼の腕にぎゅっ……と力が込められた。
「それなのに、何でそんなこと言うんだよ……。諦められなくなるだろ……」
その言葉に、瞳には涙が滲むのに、口元は緩んでしまって。泣きながら笑うという、すごく変な顔になってしまった。
「私のこと傷付けたらどうしようとか思わなくていいよ。私も、久我くんのこといっぱい傷付けてきたんだから」
恥ずかしいからポソッと呟くようにそう伝えた。小さい声だったけど、久我くんにはちゃんと届いたみたいで、「そんなことないよ」と言ってくれる。
私は首を横に振った。
「三年間、久我くんの気持ちに気が付かなかっただけでも酷いことしちゃったなって思ってる。
だから……」
私は、変な顔をしているのを自覚しながら、久我くんに振り向く。
「だから、これからは今までの三年間以上に久我くんの隣にいさせて。いっぱいいっぱい楽しいことしよう。恋人同士として」
私がそう伝えると、久我くんは満面の笑みを見せてくれた。
人前じゃなかったらキスしたいのに、なんて思ってしまった。まあ、こんな公衆の面前で抱き合ってるくせにそんなことを思うのはおかしいかもしれないけど。
さっきの大声告白でさえ周囲の視線を感じていたのに、これでは周りに〝見てくれ〟と言っているようなものだ。恥ずかしくて、自分の足元しか見れない。
でも、何で? 背中越しに聞こえた荒々しい言葉とは違って、私を抱き締める彼の腕の力はどこまでも優しい。
そして。
「諦めようと思ったんだ。これ以上付き合っても、きっと七香をまた苦しめるだけだって思ったから」
「うん……」
「自分に自信もなかった。今まではただの友だちだったから堂々と隣にいられたけど、俺は時山部長みたいにはなれないから」
「うん、うん……」
「時山部長の方が、七香には合ってると思ったんだ」
そこまで言うと、彼の腕にぎゅっ……と力が込められた。
「それなのに、何でそんなこと言うんだよ……。諦められなくなるだろ……」
その言葉に、瞳には涙が滲むのに、口元は緩んでしまって。泣きながら笑うという、すごく変な顔になってしまった。
「私のこと傷付けたらどうしようとか思わなくていいよ。私も、久我くんのこといっぱい傷付けてきたんだから」
恥ずかしいからポソッと呟くようにそう伝えた。小さい声だったけど、久我くんにはちゃんと届いたみたいで、「そんなことないよ」と言ってくれる。
私は首を横に振った。
「三年間、久我くんの気持ちに気が付かなかっただけでも酷いことしちゃったなって思ってる。
だから……」
私は、変な顔をしているのを自覚しながら、久我くんに振り向く。
「だから、これからは今までの三年間以上に久我くんの隣にいさせて。いっぱいいっぱい楽しいことしよう。恋人同士として」
私がそう伝えると、久我くんは満面の笑みを見せてくれた。
人前じゃなかったらキスしたいのに、なんて思ってしまった。まあ、こんな公衆の面前で抱き合ってるくせにそんなことを思うのはおかしいかもしれないけど。