オフィスに彼氏が二人います⁉︎
「紘希、驚きすぎだろ。七香がいたくらいで」

「あ、ああ悪い」

「まったく……って、えぇえっ⁉︎」

驚きすぎ、と俺にツッコんだばかりの井島が、俺以上に驚き、目を見開いて俺の後ろに視線を向ける。


「何だよ」

そう尋ねると、井島は興奮しながらも小声で、


「七香、審査部の時山部長と一緒にいる! デートかな?」

「は⁉︎」

俺はもう一度、七香の方へと目を向ける。

通路を歩いている七香の隣には、よく見ると確かに時山部長の姿があった。
会話までは聞こえないが、二人とも笑顔で話している。


「七香、時山部長と付き合ってんのかなー。そう言えばお前、七香と割と仲良いじゃん。ちょっと聞いてみてくんねぇ?」

「……井島。今日ここで七香と時山部長が会ってたってことは、誰にも言うなよ」

「え? 別にいいじゃん。それより七香に聞いといてよ」

「言うなよ⁉︎ 絶対に言うなよ⁉︎」

「わ、わかったよ。まあ社内恋愛はバレたらヤバそうだしな……」

井島が頷いたのを確認してから、俺はジョッキに半分くらい残ってたビールを一気に飲み干した。


七香、何で時山部長と……。
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