まわりみち

相談

「ま…またぁ〜?」

ダンススクールのレッスン場に、朋華の声が響いた。

「うるさいってば…」

「ドラマも見てくれないし、CDも聞いてくれない。いったいどういうこと?」

「そう言われても…」

「まぁ、遙祐クンはそんな性格みたいだし、しょうがないんじゃない?」

「そうかな?」

「そうだって」

「でも、大丈夫って信じてる」

「どこにそう言える自信があるの?」

「ただなんとなく…」

「なんとなくね〜」

朋華は少しあきれた顔をした。

「何でそんな顔するの?」

「ねぇ杏子。私思ったんだけど、遙祐クンって他に好きな人でもいるんじゃないの?」

「えっ、そんなことないよ。でも、ちょっと心配だなぁ…」

「あんまり考えすぎるのはよくないよ」

「そうかなぁ…」

「それより、早く練習しよう」

「うん」

さっきは軽く踏めたステップも、今は少し重かった。

やっぱり遙祐のことを考えてるからなのかな…?
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