まわりみち
「杏子!バス降りるよ」

「えっ?ちょっ…」

琴乃が私の腕を引っ張った。

私は引っ張られるがままにバスを降りた。

「琴乃、痛いってば」

「杏子がぼけーっとしてるからでしょ」

「うっ…」

「また遙祐(ようすけ)クンの事、考えてたんでしょ?」

「何でわかるの?」

「最近の杏子はわかりやすい行動ばかり」

「うそっ」

「嘘じゃないよ。授業中だって想像してたんでしょ?」

「へっ?」

「2人の明るいミ・ラ・イ」

「えっ…。違うってば」

「ほら、早く行くよ」

琴乃がおもいっきり私の腕を引っ張った。

「だから、痛いって!」

「ちょっと走るよ」

「嫌だ」

「杏子のせいで遅刻するのはもう散々なの」

琴乃は私の腕を引っ張ったまま、走りだした。

朝の街並みを駆け抜ける。

爽やかな風が、私の横を通っていく。

校門を通り、校舎の階段を駆け上がる。

そして教室に入っていく。
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