まわりみち

遙祐と透

「何とか間に合った…」

「杏子が来るの遅いからこうなんだって…」

「2人とも、ギリギリセーフだな」

私たちの背後で、いつもの声が聞こえてきた。

「と…透!」

「琴乃は悪くないもんな」

「そうよ。いつも振り回されてばっか」

「2人ともひどいよぉ…」

「夜更かしがいけないんだよ」

「透に言われたくないよ。いつも夜中までゲームしてるくせに」

「おいっ!なおちゃん達をなめるなよ」

「別にそう思ってないって」

「2人って仲良いんだね」

「遙祐」

「おはよう、遙祐。昨日のドラマ見た?」

「あっ…。見逃したかな」

「絶対見てって言ったじゃん」

「ごめん」

「じゃあ、貸したCD聞いてくれた?」

「…ごめん」

「もう、みんなして私をいじめるんだからぁ…」

「そんな事ないってば」

「じゃあ何でこうなるの?」

「杏子の思い過ごしだよ、きっと」

「本当に?」

「本当だよ」

「それならいいんだけど…」
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