まわりみち
「琴乃、どうしたの?」

私は琴乃の顔を覗き込んだ。

「何でもないよ」

「何か隠してる?」

「違うってば」

「じゃあ何?」

「この後の塾のこと考えてたの」

「そっか〜。大変だねぇ」

「杏子もそろそろ勉強しなきゃ、後々大変だよ」

「そのうちね」

「はいはい。ただし、私に泣きついてくるのはナシだよ」

「わかってる」

「それじゃあ私早退します。副部長さん」

「毎度のことながらわかってますよ」

「じゃあ、後よろしくね」

琴乃は手を振りながら、部室に戻っていった。

「杏子センパイ、琴乃センパイ帰っちゃうんですか?」

「そう。塾があるからね」

「琴乃センパイって頭いいんですね」

「そうね。私よりも賢いんだから」

「杏子、ダンススクールに行かなくていいの?」

「あっ、そうだった。じゃあまた明日ね」

私は急いで制服に着替えて、部室を飛び出した。

私の通ってるダンススクールは学校の近くにあるんだ。

そのダンススクールの発表会に遙祐が来てくれるんだって。

私うれしくて、つらい練習だってがんばれるよ。

そういえば、今遙祐は何をしているんだろう。
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