浩太くんの好きな人[みのりside]
「みのりってさ、山田のこと好きなの?」

何を言うと思ったら変なことを…。

「な、なんでそーなるんですか!?」

「山田と話してた時の方が楽しそうだし
みのりは山田の前でしか泣かないだろ」

…違う、それは違う。

「山田くんと話してて楽しいのは
浩太くんの話だからです。
山田くんの前でしか泣かないのは
私が浩太くんのことでしか泣かないからです」

本当にそうだ、

浩太くんを好きになってから

浩太くんの彼女になってから

私はよく笑うようになって

よく泣くようになった。

「嘘つくなよ
こっちが虚しくなるだけだろ。」

「嘘じゃありませんっ!」

この想いが浩太くんに届かなくても

浩太くんに伝わらなくても

“実らない”としても

この想いを疑われるのだけはやだ。

「浩太くんが私を嫌いになっても拒絶しても
何をされたとしてもしょうがないです。
でも浩太くんへの想いを
否定されるのだけは嫌です。」

叫んだ。

近くにいて教室の中には

私と浩太くんだけなのに。
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