先生、もっと抱きしめて
三好あゆみ、追試。
「…………」
放課後。
数学準備室は、夕焼けに照らされて、黄金色に輝いている。
湿気を帯びた風がカーテンを揺らしているのに目を取られ、しかしすぐに目の前の人に視線を戻した。
私は一番前の席に座っていて、教卓には担任のマツタク――松井卓也先生(数学科担当)が、眉を顰めながら、意外と形の良い指で追試の用紙を辿っていたが、その表情は険しい。
先日の小テストで、あろうことか0点を取ってしまった私は、放課後補習を3日間受けたにも関わらず、最終日の追試でもひとケタの点数を叩きだしてしまった。
「三好……」
マツタクは、力ない声で私の名字を呼ぶ。
顔が……呆れてる。
男前でもないけれど、カッコ悪いわけでもない通称マツタクは27歳。中肉中背の黒髪黒メガネ君。
放課後。
数学準備室は、夕焼けに照らされて、黄金色に輝いている。
湿気を帯びた風がカーテンを揺らしているのに目を取られ、しかしすぐに目の前の人に視線を戻した。
私は一番前の席に座っていて、教卓には担任のマツタク――松井卓也先生(数学科担当)が、眉を顰めながら、意外と形の良い指で追試の用紙を辿っていたが、その表情は険しい。
先日の小テストで、あろうことか0点を取ってしまった私は、放課後補習を3日間受けたにも関わらず、最終日の追試でもひとケタの点数を叩きだしてしまった。
「三好……」
マツタクは、力ない声で私の名字を呼ぶ。
顔が……呆れてる。
男前でもないけれど、カッコ悪いわけでもない通称マツタクは27歳。中肉中背の黒髪黒メガネ君。
< 1 / 55 >