先生、もっと抱きしめて
「すいません……」

そんなにまでの呆れ顔を見たら、謝るしかない。

「いや……俺の教え方が悪かったのか……」

さらに先生は、自身を責めている。
いや、明らかに私のせい……。


「……違うの、彼氏にフラれてやる気出なくて」

「フラれた?」

「うん、だから、先生のせいじゃなくて……」


そう。
この前私は、はじめてつきあった人にフラれたのだ。好きな子ができたって。
今度は、本当に好きなんだって。


じゃあ私は何だったの?
って……。

「……あ」

無意識にポロポロと涙がこぼれて、手元を濡らす。
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