先生、もっと抱きしめて
先生のこと、すき

って言ってるようなものだもん。

別の人にフラれたって言って泣いてたのに、好きって言われても……。
先生も信用できないよね、私みたいな人間。

はぁ~、もういたたまれない。
ドアを開けて飛び出したいくらいだけど、そんなことしたら事故るし。
へんな部分でやけに冷静。

ちらりとマツタクの横顔を伺うと、ばちりと目が合った。
私より、バツが悪そうな顔をして、目をそらされてしまった。

「……なんか、音楽かける?高校生が聞くようなもんは知らないけど……」

「先生は何聞くの?」

「オレは……って、オレの趣味なんかつまんないだろうよ」

そう言いながらも、CDをつけてくれた。

「……ピアノ?ジャズ?」

ええーっ……意外すぎる。
しかも、こんなアダルトな雰囲気の……。
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