先生、もっと抱きしめて
宿題をもらうために3-Bの教室を出て、旧館にある数学準備室まで歩く。
特に話が弾むわけでもなく、私はちょっと上にある先生の黒い髪を見ていた。

特に広くもない肩幅、ちょっときれいな襟足。

きっと学生時代は文化系だったんだろうなと思う。天文部の顧問だし。

サッカー部のヒロトとは全然違う、落ち着いた雰囲気。


先生はスーツのポケットから鍵を出すと、数学準備室の鍵穴に差し込んで回した。

「……じゃあ、ちょっと座って待ってて。プリント印刷するから、それ持って帰って解いて、明日提出な」
「うん」

カラカラとドアを開ける時、先生の腕がちょうど私の目線に来た。

思っていたよりちょっと、逞しさのある腕。
そして、思ったより接近したことにたじろいだけど、先生は普通に中に入って作業する。
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