先生、もっと抱きしめて
「ありがとうございます……」

静かに受け取ると、先生の影が私に重なった。
近い。
びっくりして見上げると、納得いかない顔で聞いてきた。

「オレ、慰め慣れてるように見える?」

「え……ううん」

「どっちだよ。力抜けるわ」

先生はふにゃっと困ったような顔をして、笑った。


あれ。
ドキドキが、すごい。

……私、ヒロトに振られて、すごく落ち込んでたはずなのに。


「じゃあ、気ーつけて帰って。明日も忘れずに参加しろよ」

「うん」

先生が立ち上がったので、私も鞄に筆記用具とテキスト、宿題のプリントを入れて、立ち上がった。

「そんな慌てなくても、待ってるから」

……笑われてる。


センセイって、こんなんだったっけ。


なんか、私、これじゃあマツタクのこと

すき……

みたい。
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