狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「映画みたい……!」

夜景が一望できるように壁一面が窓になっている広いバスルームには、丸い形の大きなバスタブがあった。
こんなの、映画でした見たことなかった。本当に現実の世界にあるんだ。なんて感激してしまう。

「社長! すごいですよ! バスルームからスカイツリーが……っ!」

興奮しながらそう言って振り返ると、社長は口元に手をやり笑いをこらえるように肩を揺らしていた。

こんなにはしゃいで、あきれられてる。
自分の子供っぽい言動が急に恥ずかしくなってうつむくと、視界の端で社長が上着を脱ぐのが見えた。

黒いスーツを脱いだ下には、同じ色のベスト。
白いシャツと艶のある黒いベスト姿は、社長の引き締まった体を強調するようで、色っぽい。

社長は脱いだ上着を黒い大理石で出来た洗面台の上に無造作に落とす。その動作に、はっと我にかえる。

スイートルームに興奮してはしゃいでいたけど、こんな広くて豪華な部屋にひとりで泊まるわけがない。
社長もここに泊まるんだよね……?

そう思ったら、動揺で頬がどうしようもなく熱くなる。


 
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