狼社長の溺愛から逃げられません!
「お前、さっきまであんなに夜景が綺麗だってはしゃいでたくせに、なんで自分の膝ばっか見てるんだよ」
「だ、だって、夜景を見る余裕なんてないです」
「ふーん。なんでそんなに余裕ないんだ?」
意地悪にそう聞かれ、言葉につまる。
ぐっと顔をしかめて涙目で社長を睨んだ。
「……なんでって、社長のせいに決まってるじゃないですか」
私がそう反論すると、社長が息を吐き出してうつむいた。
「お前のそういう、臆病なくせに涙目になって必死に言い返してくる感じ、ほんと……」
そう言って言葉を切った社長に、私は膝を抱えたまま首をかしげる。
「ほんと、……なんですか?」
「ほんと、面白くて好きだなと思って」
私が続きを問うと、社長は意地悪な表情でにやりと笑った。
「……っ!!」
その言葉に思わず顔が熱くなった。
「面白いって、ひどいです。私はおもちゃじゃないですよ」