狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「お前、さっきまであんなに夜景が綺麗だってはしゃいでたくせに、なんで自分の膝ばっか見てるんだよ」
「だ、だって、夜景を見る余裕なんてないです」
「ふーん。なんでそんなに余裕ないんだ?」

意地悪にそう聞かれ、言葉につまる。
ぐっと顔をしかめて涙目で社長を睨んだ。

「……なんでって、社長のせいに決まってるじゃないですか」

私がそう反論すると、社長が息を吐き出してうつむいた。

「お前のそういう、臆病なくせに涙目になって必死に言い返してくる感じ、ほんと……」

そう言って言葉を切った社長に、私は膝を抱えたまま首をかしげる。

「ほんと、……なんですか?」
「ほんと、面白くて好きだなと思って」

私が続きを問うと、社長は意地悪な表情でにやりと笑った。

「……っ!!」

その言葉に思わず顔が熱くなった。

「面白いって、ひどいです。私はおもちゃじゃないですよ」


< 153 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop