狼社長の溺愛から逃げられません!
両手で顔を覆って声を絞り出すように懇願すると、その手首を掴まれた。
「無理」
短くそう言って、私の腕を強引に開きまっすぐに顔を見つめる。
「もう待てない」
真剣な表情でそう言われ、息を飲んだ。
私をみつめる熱を帯びた視線が色っぽくてめまいがする。
私の抵抗を無駄だというように、抱きしめる腕に力が込められる。
「しゃちょう……」
小さくつぶやいた唇を、乱暴に塞がれた。
口内に舌をさしこまれ、歯の裏側をなぞられる。その感触に勝手に体が揺れてしまう。
「ん……っ、あ……」
バスルームに響く自分の吐息がやけに大きく聞こえて恥ずかしくて、誤魔化すように社長の胸を叩くと、さらにキスが深くなった。
「しゃ……ちょ、んんっ」
酸素を奪われて頭がぼんやりしてくる。情熱をぶつけるようなキスに目尻に涙が浮かんだ。
長い指が浮かんだ涙をぬぐい、また唇が重なる。
このまま溺れてしまうんじゃないかと思うほど気持ちが良くて、体から力が抜けた。
「んん……っ、しゃちょう……」
もしかしてこれも、仕事を頑張ったご褒美のひとつですか?
そう聞きたかったけれど、甘いキスに理性が溶かされもうなにも考えられなくなった。