狼社長の溺愛から逃げられません!
 

その日、先輩の古賀さんに食事に誘われた。


いつもお世話になっている古賀さんの誘いに、喜んでうなずく。

「この前はハンバーガーおごってもらったし、可愛いお土産もらったし、今日は私が出しますね」

そう言うと、古賀さんが「いいのに」と困ったように笑う。

古賀さんの眉を下げた優しい笑い方に、社長とはぜんぜん違うなと思ってしまった。

社長はいつも、笑い顔を隠すようにうつむいて肩を震わす。
でも、髪の間からシワがよった頬が見えるのが、無防備でものすごく色っぽい。

……会いたいな。社長に。
でも、会いたいと思っているのは、私だけなんだろうな。

そう思うと、切なくなる。


古賀さんが連れてきてくれたのは、こぢんまりとした韓国料理屋さんだった。
店内のあちこちに置かれたカラフルな小物がレトロで可愛い。
キムチとお肉の焼けるいい匂いに食欲が刺激される。


 

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