狼社長の溺愛から逃げられません!
 
ふたりがけの席に向かい合って腰を下ろすと、スーツを脱ぎながら古賀さんが笑った。

「このまえ韓国に出張行ったのにぜんぜん韓国料理食べれなかったから、無性に食べたくて」
「そうなんですか?」
「だって日帰りの弾丸出張だよ。かろうじて移動の車の中でお弁当食べたくらい」
「わ、それは大変でしたね」

せっかく海外出張なのに、ゆっくりご飯も食べられないなんて。と思わず同情してしまう。

「でも、そんな慌ただしかったのにわざわざお土産を買ってくれたんですか?」
「うん。たまたま帰りの空港で可愛い雑貨が並んでるのを見て、有川さんのことを思い出したから」
「うれしいです。ありがとうございます」

ぺこりと頭をさげると、古賀さんは照れくさそうに笑った。


料理はとても美味しかった。
キムチやナムルの小鉢も、テーブルの上の小さな七輪で焼くお肉も。

はじめてみる銘柄の韓国のビールを飲んでいると、古賀さんがちらちらとこちらを見る。

 

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